主な用途
電球はフィラメントに電流を流し、高温化して発光させます。フィラメントの燃焼(酸化)や蒸発を防止するため不活性ガスが封入されますが、最近この封入ガスにクリプトンが使われ始めました。
電球の明るさはフィラメントの温度で決まります。同一の消費電力で、より高いフィラメント温度を得るためには、電球からの熱損失をできるだけ抑えること。クリプトンは原子量が重く熱伝導率が低いため、従来のアルゴン等に比べ、10%以上もランプ効率が上がるといわれています。今後の省エネルギー時代の要請に応える技術として、さらに普及が進むことでしょう。
エキシマーレーザーの中でも、波長248nmの安定したレーザーを発振するKrFは、短波長レーザーの主流です。半導体製造のリソグラフィーやエッチング工程の光源として利用されています。
エキシマーとは、励起を意味するExcitedと二重体を意味するDimerの合成語で、通常結合しない異なった原子に放電などの強エネルギーを与えると、瞬間的に励起結合し、それが基底状態に戻るときに発する光をレーザーとして利用します。
これは「不活性ガスは反応しない」という壁が突き破れた好例です。今後はどのように発展するのかが楽しみなガスです。
北欧等の寒い地域では、暖房効率を上げる省エネルギーが社会的な要請です。そこで、窓のような放熱の大きな建築材料にクリプトンを封入し、屋内全体の暖房効率を上げることが行われています。
クリプトンが重くて熱伝導率が低いという特徴を、有効に利用した例です。今後は、冷房効率の向上や防音効果の目的での開発が進むのではと考えられます。
まだまだ馴染みの薄いガスですので、各ガス固有の特徴が生かされる用途は、これから広がっていくものと思われます。